こんな経験はありませんか?
- 同期の昇進を聞いて、心から「おめでとう」と言えなかった
- 恋人の過去や交友関係が気になって、確認してしまう
- SNSで幸せそうな投稿を見ると、そっと画面を閉じる
- 「なんであの人ばかり」と、頭の中で何度も比べてしまう
嫉妬は、誰にでもある感情です。ただ、口に出しにくい。だから多くの人は、嫉妬している自分を隠し、責めます。
でも、嫉妬を「悪い感情」として抑え込んでも、なくなりません。むしろ、別の形で人間関係をこじらせていきます。
アドラーはどう見た?
アドラーは、人間を全体として見ます。嫉妬も、単独の感情として切り離すのではなく、その人の生活全体の表れとして捉えました。
→ 詳しくは全体論とは?
そして、人の行動の根本には劣等感があると考えました。劣等感とは「自分には足りないところがある」という感覚で、それ自体は誰にでもあります。
嫉妬は、この劣等感が対人関係の中で顔を出したものだと言えます。
嫉妬は「比較」から生まれる
アドラー心理学では、劣等感は必ずしも他者との比較から生まれるとは限りません。理想と現実のギャップからも生まれます。
しかし嫉妬は、明確に相手を必要とします。「あの人と自分」を比べ、あの人が持っていて自分が持っていないものに目が向いたとき、嫉妬になります。
→ 詳しくは他人と比較してしまう
嫉妬が向かう先は「奪うこと」ではなく「つながり」
アドラーは、人間の根本に社会性があると考えました。人はつながりを求める存在です。
嫉妬の裏側にも、「あの人と同じように扱われたい」「あの人の場所にいたい」という願いがあります。つまり嫉妬は、敵意であると同時に、所属への願いでもあるのです。
→ 詳しくは共同体感覚とは?
なぜそうなるのか?
競争の物差しで世界を見ている
アドラーは、人間関係を縦の関係と横の関係に分けて考えました。
- 縦の関係:優劣で並べる関係
- 横の関係:対等で協力する関係
嫉妬が生まれるのは、縦の関係で世界を見ているときです。誰かが上に行けば、自分は下がったように感じます。実際には自分の位置が下がったわけではないのに、です。
→ 詳しくは縦の関係と横の関係
欠けているものに焦点が固定される
嫉妬が強いとき、視野は「自分にないもの」に固定されます。
- あの人には友人が多い
- あの人には才能がある
- あの人には時間がある
一方で、自分が持っているものは見えなくなります。これは事実の問題ではなく、注意の向け方の問題です。
嫉妬が「動けない理由」に使われる
アドラーは、感情は目的に沿って使われると考えました。嫉妬も例外ではありません。
嫉妬している間は、動かなくて済みます。「あの人ばかりずるい」と思っていれば、自分が行動を起こさずに済むからです。
これは臆病とは違います。嫉妬が、努力しないことを正当化する道具になっている場合があるのです。
→ 詳しくは心理学の使用とは?
どう付き合えばいい?
1. 嫉妬を悪者にしない
まず、嫉妬している自分を責めるのをやめます。嫉妬は自然な感情であり、人間関係への関心の裏返しです。
「今、嫉妬しているんだな」と気づきます。すると、感情に飲み込まれにくくなります。
2. 「何を欲しいと思っているか」に翻訳する
嫉妬を手がかりに、自分の願いを読む練習です。
- あの人の○○がうらやましい → 自分は○○が欲しい
- あの人の△△が悔しい → 自分は△△を目指していた
嫉妬は、自分の欲求を教えてくれる地図になります。
3. 比べる相手を「過去の自分」に変える
他人と比べるのをやめようと思っても、いきなりは難しいものです。代わりに、比べる相手を変えます。
- 昨日の自分より、何ができるようになったか
- 去年の自分なら、どう感じていたか
競争ではなく成長として見ると、嫉妬の分だけ視点が変わります。
4. 協力という発想に切り替える
アドラーは、競争ではなく協力を勧めました。横の関係に立てば、相手の成功は自分の敗北ではありません。
- あの人が上手くいっているなら、何を学べるか
- 自分は、あの人のために何ができるか
この問いに変えると、嫉妬のエネルギーが別の方向へ流れます。
→ 詳しくは競争ではなく協力へ
5. 行動を一つだけ選ぶ
嫉妬を消してから動こうとする必要はありません。嫉妬を抱えたまま、小さな一歩を選びます。
- 欲しいと思う方向で、5分だけ手を動かす
- 相手に素直に「すごいね」と伝えてみる
行動すると、嫉妬は少し薄れます。感情が行動を変えるのではなく、行動が感情を変える順番もあるのです。
