使用の心理学とは何か
アドラー心理学の重要な概念が使用の心理学です。
使用の心理学とは、人間の価値は持っている資質ではなく、それをどう使うかで決まるという考え方です。
- 何を持っているか → それは材料
- どう使うか → それが人格
アドラーは、人間の能力や資質は「どのように使用されるか」によって意味を持つと考えました。
使用の心理学の基本
能力は「使い方」で意味を持つ
同じ能力でも、使い方によって全く異なる結果になります。
- 高い知能 → 人のために使う / 人を欺くために使う
- 強い体力 → 守るために使う / 傷つけるために使う
- 感受性の豊かさ → 共感に使う / 傷つきやすさに使う
能力そのものは「善」でも「悪」でもなく、どう使われるかで価値が決まります。
「持っているもの」に焦点を当てない
多くの人は、自分が「持っていないもの」に目を向けます。
- 「もっと頭がよければ」
- 「もっと才能があれば」
- 「もっと運がよければ」
アドラーは、持っているものに焦点を当てるのではなく、持っているものをどう使うかに焦点を当てるべきだと考えました。
人格は「使い方」に表れる
人格は、持っている資質の合計ではありません。
- どのような目的のために能力を使うか
- どのような場面で、どのような使い方を选择するか
この使い方のパターンこそが、その人の人格を表しています。
なぜ「使用」なのか
責任の所在
使用の心理学は、責任の所在を明確にします。
- 能力が足りない → 環境や遺伝のせい
- 能力の使い方が不適切 → 自分の選択
能力の使い方は、自分で選べるものです。だからこそ、その使い方に責任が生じます。
変化の可能性
使用の心理学は、変化の可能性を開きます。
- 能力そのものを変えるのは難しい
- でも、能力の使い方は変えられる
「自分はダメだ」ではなく、「どう使えばよいか」を考え直すことができます。
使用の心理学の実践
1. 「どう使っているか」を振り返る
まず、自分が能力をどう使っているかを振り返ります。
- 自分の長所は、何のために使っているか
- 自分の短所は、何を避けるために使っているか
使い方には、必ず目的があります。
2. 「どう使いたいか」を問う
次に、どう使いたいかを自分に問います。
- この能力を、誰のために使いたいか
- この経験を、何のために生かしたいか
使い方の目的を意識することで、使い方が変わります。
3. 使い方のパターンを変える
最後に、使い方のパターンそのものを変えます。
- 「自分を証明するために使う」→ 「貢献するために使う」
- 「傷つかないように使う」→ 「つながるために使う」
パターンを変えることで、人間関係も人生も変わります。
使用の心理学と劣等感
使用の心理学は、劣等感と深く結びついています。
- 劣等感 → 「自分は足りない」という感覚
- 劣等コンプレックス → 「足りないから無理」と諦める
- 使用の心理学 → 「足りないなりに、どう使うか」を考える
劣等感を克服するとは、能力そのものを増やすことではなく、持っているものを適切に使うことです。
→ 詳しくは劣等感と劣等コンプレックス
使用の心理学の注意点
「努力すれば何とかなる」ではない
使用の心理学は「努力すれば何とかなる」という精神論ではありません。
- 能力の限界は、現実にある
- ただし、限界の中でどう使うかは選べる
現実を見据えた上で、使い方を考えることが大切です。
「使い方が悪い」と責めるものでもない
使用の心理学は、使い方が不適切な人を責めるための理論ではありません。
- 使い方は、過去の経験から形成された
- でも、選び直すことはできる
責めるのではなく、別の使い方を共に考えることが重要です。
