『嫌われる勇気』とは
『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健、ダイヤモンド社、2013)は、アドラー心理学を解説したベストセラーです。
でも、これはアドラー本人の本ではありません。
アドラーの思想を現代風に解釈した、創作対話形式の本です。
『嫌われる勇気』の貢献
まず、『嫌われる勇気』の貢献を認めましょう。
1. アドラー心理学を一般に広めた
『嫌われる勇気』は、日本だけでなく世界的にアドラー心理学を広めました。
この本がなければ、多くの人はアドラーのことを知らなかったでしょう。
2. 実践的な概念をわかりやすく解説
『嫌われる勇気』は、アドラーの思想を実践的な概念に整理して解説しました。
- 課題の分離
- 承認欲求の否定
- 共同体感覚
- 今を生きる
これらの概念は、現代人にとって非常にわかりやすい形で提示されています。
3. 読み物として面白い
『嫌われる勇気』は、創作対話形式で書かれています。哲人と青年の対話を通じて、読者は自然にアドラーの思想を理解できます。
『嫌われる勇気』と原典の違い
でも、『嫌われる勇気』はアドラー本人の思想を正確に伝えているわけではありません。
1. 「課題の分離」という用語
『嫌われる勇気』: 「課題の分離」を明確な概念として提示
原典: アドラーも同様の概念を説いているが、「課題の分離」という明示的な用語は使っていない
2. 「すべての悩みは対人関係である」
『嫌われる勇気』: この言葉をアドラーの言葉として紹介
原典: アドラー本人がこのような明確な表現を使ったわけではない。後世の整理
3. 「嫌われる勇気」という表現
『嫌われる勇気』: タイトルとして使用
原典: アドラー本人が「嫌われる勇気」という表現を直接使ったわけではない
4. 承認欲求の否定
『嫌われる勇気』: 承認欲求を完全に否定
原典: アドラーも承認欲求の問題を指摘しているが、完全に否定しているわけではない
5. 「今を生きる」
『嫌われる勇気』: 「今を生きる」ことを強調
原典: アドラーも現在を重視しているが、過去や未来との連続性も認めている
アドラー本人の思想
では、アドラー本人は実際に何を説いたのでしょうか。
1. 目的論
アドラーは、人間の行動は過去の原因ではなく、未来の目的によって理解されると説きました。
2. 劣等感と補償
アドラーは、劣等感は誰にでもある自然な感情であり、それが成長の原動力になると説きました。
3. 共同体感覚
アドラーは、人間の幸福は共同体感覚(social interest)にあると説きました。
4. 勇気づけ
アドラーは、勇気づけ(encouragement)を最も重視しました。
5. 人生の課題
アドラーは、人生には3つの課題(仕事・交友・愛)があると説きました。
『嫌われる勇気』の位置づけ
『嫌われる勇気』は、アドラーの思想を現代風に解釈した本です。
だから:
- アドラー本人の言葉をそのまま伝えているわけではない
- 現代の読者にわかりやすくするための解釈が含まれている
- 創作対話形式なので、実際のアドラーの教え方とは異なる
でも、それは悪いことではありません。
『嫌われる勇気』は、アドラーの思想を現代に蘇らせた優れた解釈です。
原典を読む意味
『嫌われる勇気』を読んだ後、原典を読む意味はあるのでしょうか。
1. アドラーの生の声に触れる
原典を読むと、アドラーの生の声に触れることができます。
『嫌われる勇気』とは異なる、アドラー独自のニュアンスを感じ取ることができます。
2. 誤解を解く
原典を読むと、『嫌われる勇気』による解釈の限界がわかります。
アドラー本人が実際に何を説いたのか、正確に理解できます。
3. 深く理解する
原典を読むと、アドラーの思想を深く理解できます。
『嫌われる勇気』では省略されている部分も、原典では詳しく説明されています。
