こんな経験はありませんか?
- 朝、仕事に行く準備をしながら「このまま行きたくない」と思う
- 日曜の夜になると気分が沈む
- 辞めることばかり考えて、仕事が手につかない
- 転職サイトを眺めては、また閉じてしまう
- 「自分は何のために働いているのか」分からなくなる
「辞めたい」という感情は、それ自体が答えではありません。しかし、何かが合っていないというサインであることは確かです。
アドラーはどう見た?
アドラーは、仕事を人生の三大課題のひとつとして位置づけました。
- 仕事の課題 — 職業を通じた他者との関わり
- 交友の課題 — 友人との関係
- 愛の課題 — パートナーとの関係
仕事は、一人で完結しません。必ず他者と関わる場面を含みます。だからこそ、仕事の悩みは人生全体に響きやすいのです。
→ 詳しくは人生の3つの課題
アドラーは「辞めるな」とも「辞めろ」とも言いませんでした。代わりに、その行動が何に向かっているのかを見るよう促しました。
感情も、行動も、目的を持つ
アドラー心理学の中心にあるのが目的論です。人間の行動や感情は、原因だけでなく、これから先の目的に引かれていると考えます。
- 「辞めたい」と感じる → 何かから逃れたい、あるいは何かへ向かいたい
- 「でも動けない」と感じる → 今の状態を保つことにも、目的がある
辞めたい気持ちを、善し悪しで裁かず、まずその向き先を見ます。
なぜそうなるのか?
「辞めたい」が避難になることがある
辞めたい気持ちには、少なくとも二つの向きがあります。
- 向かう力としての辞めたい → こうしたい、という願いがある
- 逃れる力としての辞めたい → つらい課題から目を背けたい
後者の場合、辞めても別の職場で同じ悩みが繰り返されることがあります。課題そのものではなく、場を変えているだけだからです。
これは「辞めるな」という意味ではありません。何から逃げたいのかを、自分で知っておくことが大切だという意味です。
ライフスタイルが選択を縛る
アドラーは、人にはそれぞれライフスタイル(生き方の癖)があると考えました。
- 「自分は評価されない」という前提で世界を見る
- 「失敗してはいけない」という構えで動く
この癖が強いと、環境が変わっても同じパターンをなぞりやすくなります。
→ 詳しくはやる気が出ないの背景にも、この癖が関わります。
課題の分離が曖昧になっている
仕事がつらくなる一因に、誰の課題かが混ざってしまうことがあります。
- 会社の方針 → 会社の課題
- 上司の評価 → 上司の課題
- 自分がどう働くか → 自分の課題
他人の課題まで背負っていると、「辞める」以外の選択肢が見えにくくなります。
→ 詳しくは課題の分離とは
辞める前に見直す3つの視点
1. 「何から逃れたいのか」を書き出す
まず、辞めたい理由を具体的にします。
- 人間関係か、業務内容か、働き方か
- その中で、変えられるものは何か
- 変えられないものは何か
「職場全体が嫌」という大きな塊を、小さな要素に分けると、選択肢が見えてきます。
2. 「辞めた先でどうしたいか」を描く
逃れる先だけを考えると、辞めることが目的になってしまいます。
- 次にやりたいことは何か
- それは今の職場では実現できないのか
- 条件を変えれば、続けられる部分はないか
向かう先がある辞め方は、その後の納得につながりやすいと言えます。
3. 辞めることを「負け」と読まない
アドラー心理学では、出来事の意味は選べると考えます。
- 「逃げた」と読む
- 「自分に合う環境を選び直した」と読む
どちらも可能です。職場がつらいという記事で触れたように、環境を変えることも、立派な一つの選択です。
4. 安全を最優先にする
眠れない、食べられない、涙が止まらないといった状態が続くときは、判断を一人で抱え込まないでください。
- 信頼できる人に話す
- 産業医や相談窓口を頼る
- 必要なら医療機関につながる
心身の安全は、キャリアの判断より優先されます。これは根性の問題ではありません。
