松陰の著作の特徴
松陰の著作には、はっきりした特徴があります。その多くが獄中や謹慎の時期に書かれていることです。
海外への密航に失敗して野山獄に入り、出獄後も謹慎を命じられ、最期は安政の大獄で処刑される。自由を奪われた時間が、松陰にとっては学びと執筆の時間になりました。約600冊を獄中で読んだという記録も残っています。
主な著作一覧
| 著作 | 時期 | 種別 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 講孟余話 | 1855–56 | 講義録・主著 | 獄中で講じた『孟子』の解説。松陰の思想の集大成 |
| 幽囚録 | 1855頃 | 獄中作 | 密航の顛末と海外事情の記録 |
| 野山獄文稿 | 1855– | 獄中作 | 獄中で書いた文章・書簡群 |
| 東北遊日記 | 1852 | 紀行 | 東北遊学の記録。志を記した序文で知られる |
| 士規七則 | 1855 | 塾則 | 松下村塾の教育綱領 |
| 留魂録 | 1859 | 遺書 | 処刑前日に門下生へ宛てた遺書 |
| 回顧録 | — | 自伝 | 自らの来歴を振り返る記録 |
主著『講孟余話』
『講孟余話』は、松陰の主著です。野山獄や実家の幽室で『孟子』を講じた記録をまとめたもので、松陰の国家観・人間観・教育観が最もよく表れています。詳しくは『講孟余話』とはで扱います。
獄中作『幽囚録』と『野山獄文稿』
『幽囚録』は、密航事件の顛末を記した獄中作です。海外事情への関心と、攘夷の方針転換が読み取れます。『野山獄文稿』は、獄中で書いた文章・書簡をまとめたもの。この二つについては『幽囚録』・野山獄文稿とはで詳しく見ます。
紀行『東北遊日記』と塾則『士規七則』
『東北遊日記』は、22歳の東北遊学の記録です。その序文には、のちの松陰を貫く志が記されています。『士規七則』は、松下村塾の教育綱領。士として重んぶべきものを定めた短い文書です。『東北遊日記』は『東北遊日記』とはで扱います。
最期の『留魂録』
『留魂録』は、処刑の前日に書かれた遺書です。門下生への訓戒と、辞世の短歌が収められています。松陰の死生観を知るうえで欠かせない一冊です。詳しくは『留魂録』とはと死生観と『留魂録』で扱います。
