優越性の追求とは何か
アドラー心理学の基本概念が優越性の追求(striving for superiority)です。
優越性の追求とは、劣等感を乗り越え、より良い自分を目指す人間の根本的な欲求です。
「他人より偉くなりたい」という意味ではありません。**「現在の自分より成長したい」**という意味です。
優越性の追求のメカニズム
劣等感から始まる
アドラーは、すべての人間は劣等感を持っていると説きました。
- 「自分は足りない」
- 「もっと良くなれる」
この劣等感が、優越性の追求の起点になります。
補償の動き
劣等感を感じると、人間は補償(compensation)の動きをします。
- 身体的な弱さ → 運動で補う
- 学業の遅れ → 努力で追い越す
- 社交性のなさ → 一人でできることを極める
この補償の動きが、優越性の追求です。
仮想的目標
アドラーは、人間は仮想的目標(fictional finalism)に向かって動くと説きました。
仮想的目標とは、「もし〜なら」という理想の自分です。
- 「もし自信があったら」
- 「もし能力があったら」
- 「もし愛されていたら」
この仮想的目標に向かって、人間は動きます。
優越性の追求の2つの方向
1. 有用的 side of life(役に立つ側)
優越性の追求が社会的関心(social interest)と結びつくと、有用的 side of lifeに向かいます。
- 他者に貢献する
- 社会の役に立つ
- 仲間と共に成長する
これが健康的な優越性の追求です。
2. 無用的 side of life(役に立たない側)
優越性の追求が社会的関心を欠くと、無用的 side of lifeに向かいます。
- 他者を支配する
- 自己中心的になる
- 虚栄心を満たす
これが不健康な優越性の追求です。
優越コンプレックス
優越コンプレックスとは
優越性の追求が歪んだ形が優越コンプレックスです。
優越コンプレックスとは、劣等感を隠すために、偉そうに振る舞う状態です。
- 自慢する
- 他者を見下す
- 権威にしがみつく
アドラーは言いました。
if we see an inferiority complex we find a superiority complex more or less hidden. On the other hand, if we inquire into a superiority complex and study its continuity, we can always find a more or less hidden inferiority complex.
(劣等コンプレックスの裏には、常に優越コンプレックスがある。そして、優越コンプレックスの裏には、常に劣等コンプレックスがある)
優越コンプレックスの例
- 学歴自慢 → 学歴で劣等感を隠す
- 威圧的な態度 → 弱さを隠す
- 見せびらかし → 自信のなさを隠す
これらはすべて、劣等感の裏返しです。
優越性の追求の育て方
1. 劣等感を認める
まず大切なのは、劣等感を認めることです。
- 「自分は足りない」と感じることは自然
- 劣等感は成長の原動力になる
劣等感を否定すると、優越性の追求も止まります。
2. 社会的関心を育む
次に、社会的関心を育むことです。
- 他者に貢献する
- 仲間と共に成長する
- 社会の役に立つ
社会的関心があれば、優越性の追求は健康的な方向に向かいます。
3. 仮想的目標を設定する
最後に、仮想的目標を設定することです。
- 「もし〜なら」という理想の自分
- でも、現実的な目標
仮想的目標がなければ、優越性の追求も方向を失います。
