仮想的目標とは何か
アドラー心理学の重要な概念が仮想的目標です。
仮想的目標とは、人間が無意識に設定する主観的なゴールです。
- 現実の目標 → 実際に達成しようとするもの
- 仮想的目標 → 無意識に設定され、行動を方向づけるもの
アドラーは、人間の行動は「仮想的最終目標(fictional final goal)」に向かって組織化されると考えました。
仮想的目標の基本
「仮想」とは
仮想的目標の「仮想」とは、「現実には存在しないが、行動を方向づけるもの」という意味です。
- 「完璧な人間になる」→ 現実には到達不可能
- 「他者に認められ続ける」→ 常に達成し続けることは不可能
- 「絶対に安全である」→ 完全な安全は存在しない
これらは現実には到達できませんが、行動を強く方向づけます。
「最終」とは
仮想的目標は、最終的なゴールです。
- 中間目標 → 段階的に達成するもの
- 最終目標 → すべての行動が向かう究極の方向
仮想的目標は、人生の全体的な方向性を決めます。
無意識に働く
仮想的目標は、多くの場合、無意識に働いています。
- 自覚していない
- でも、行動や選択に強く影響している
仮想的目標を自覚することが、自分理解の鍵です。
仮想的目標の具体例
「完璧でなければならない」
- 仮想的目標: 完璧な人間になる
- 行動: 常に完璧を目指す、失敗を恐れる
- 結果: 不安、燃え尽き、挑戦回避
「他者に勝たなければならない」
- 仮想的目標: 他者より優位に立つ
- 行動: 競争、他者を見下す、支配的になる
- 結果: 孤独、対人関係の困難
「傷ついてはならない」
- 仮想的目標: 絶対に傷つかない
- 行動: 他者を避ける、挑戦しない、感情を抑える
- 結果: 孤立、成長の停止
なぜ仮想的目標なのか
行動の統一性を理解する
仮想的目標を理解すると、行動の統一性がわかります。
- なぜこの人はいつも同じパターンなのか
- 一見違う行動も、同じ目標に向かっている
仮想的目標は、行動の背後にある一貫性を説明します。
→ 詳しくは全体論
目的論の核心
仮想的目標は、目的論の核心です。
- 原因論 → 過去の出来事が行動を決める
- 目的論 → 仮想的目標が行動を方向づける
人間は過去に引きずられるのではなく、未来の目標に向かって動く存在です。
→ 詳しくは目的論
仮想的目標の実践
1. 「自分は何に向かっているか」を問う
まず、自分の仮想的目標を問います。
- 自分は、何を目指しているのか
- 無意識に、どのようなゴールを設定しているか
行動のパターンから、目標を逆算します。
2. 「その目標は現実的か」を問う
次に、その目標の妥当性を問います。
- その目標は、本当に達成可能か
- その目標は、自分を助けているか、苦しめているか
仮想的目標は、現実と合わないことがあります。
3. 「別の目標はないか」を探す
最後に、別の目標を探します。
- 「完璧」→ 「十分」
- 「他者に勝つ」→ 「他者と協力する」
- 「傷つかない」→ 「傷つくことも受け入れる」
目標を変えることで、行動が変わります。
仮想的目標とライフスタイル
仮想的目標は、ライフスタイルと深く結びついています。
- ライフスタイル → 自分と世界に対する基本的な捉え方
- 仮想的目標 → そのライフスタイルが向かうゴール
ライフスタイルは、仮想的目標によって方向づけられます。
→ 詳しくはライフスタイル
仮想的目標の注意点
「目標を持つこと」は悪くない
仮想的目標は、「目標を持つこと」自体は悪くありません。
- 目標は、行動を方向づける力がある
- 問題なのは、現実と合わない目標に固執すること
目標そのものではなく、目標の内容と柔軟性が重要です。
簡単には変えられない
仮想的目標は、簡単には変えられないものです。
- 幼少期から形成されている
- 無意識に働いている
見直しには、時間と実践が必要です。
